クールな御曹司にさらわれました





頭が真っ白のまま羽前家に戻った私は自室にたどり着く。

ベッドは綺麗に整えられ、私が着物を脱いで片付けやすいよう、収納用具が一式並べられている。
ひとまず、この着物を脱ごう。
ばさばさと帯を落すと、壁のフックにかけられたイブニングドレスが目に飛び込んできた。
紅色の、すらりとしたデザインのイブニングドレス。
身体にあてがってみると、胸周りが大きく開き、私の小さな身長に合わせて裾がくるぶし丈にカットされているようだ。

これが今夜の衣装ということだろうか。

鏡台の前にはケースがあり、いくらするのかわからないネックレスが入っていた。
スワロフスキー?トップはピンクダイヤ?ナニコレ、見たこともない大きさの石。

私は着物を片付けるのも忘れ、下着姿で絨毯に座り込んだ。

本当にどういうことだろう。尊さんは私と婚約するつもりでいる。
こんなに強引な手法で。

ひどい。ひどくない?
私、待ってって言ったよねぇ。

結局、私の意志なんか関係ないの?
最初からそういうスタンスだったけどさぁ、実は優しくてちょっと天然で、純粋な人だって……思い始めてたのに。


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