クールな御曹司にさらわれました
「おまえの思う通りことが運んだらな。……しかし、ラッキーだと思え。おまえは今無料で子女教育を受けている。万が一、嫁入りが白紙になっても、この先婚活にも仕事にも使えることばかりだぞ」

確かにそうかもしれない。考えようによっては……いやいや、やっぱりおかしいよ。だって、この人言ってるよね。
『おまえの弱みに付け込んで、必要な人材として確保してやったぜ』ってな感じのこと。

「俺に感謝しろ」

「はあ。感謝ですか」

「exactly」

「いぐざくとり?」

「発音が悪い」

尊さんの手がのび、私の頬をぎゅーっとひっぱる。
いきなりの接触に驚くより何より痛くて私は悲鳴をあげた。

「あたたたた!」

「クソ発音を繰り返してみろ、おまえの頬はべろんべろんに伸びてしまうだろうな」

「鬼……」

小さな声で呟いた悪態はばっちり聞こえていて、私は再度頬をねじりあげられることとなった。

なんなの、この人。バッカじゃないの!?



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