クールな御曹司にさらわれました
「いらっしゃいませ」

折り目正しく挨拶され、私は「こんにちは」と礼を返す。

「いつもこんな感じなんですか?」

サラさんにこそっと聞いてみる。

「いえ、今日は尊社長のゲストが来ると社員は皆知っているわ」

「ゲストって女性」

「女性も多いわね。……妙さん、嫉妬してる?」

嫉妬って……どこ目線?誰が?誰に?ベクトルわかんない。
私がスルーしたことをサラさんが変な風にとっていないといいなと思う。

25階は会議室や応接室がメイン。
24階から21階まで下り、各セクションをそっと覗かせてもらった。私が知っているのは日本橋の自社だけだけれど、世の中にはこんなスタイリッシュなオフィスがあるのね。ドラマの中みたい。

「自分のデスクを持たないセクションも多いの。外勤メインだったり、逆にほぼ自宅勤務という社員もね」

「他所の世界って感じ」

「妙さんは内勤がメインだったかしら」

私は頷きながらきょろきょろとあちこち見回してしまう。
すると、いきなり頭頂部に拳が降ってきた。

「いったあ!!」

「タマ、何をうろついている」

そこにいたのは尊さんだ。私の頭にあてた拳をぐりぐりとめり込ませる。
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