クールな御曹司にさらわれました
「首輪とリードがいるのか?うちの家畜は」

「なにするんですか~!痛い~!」

めり込む拳をはずそうともがく私の横で、サラさんが言う。

「私がお暇つぶしにご案内しただけですよ」

「御台寺、こいつはゲストじゃないぞ。そんな厚遇するな。応接の隅に転がしておけばいい」

「言い方がとても悪いですね。あと、尊社長が遅いのがいけないと思います」

サラさんが尊さんのでっかい拳を私の頭からどかしてくれる。助かった。これ以上背が縮んでたまるか。

「あと少しで終わるから、おとなしく待っていろ。伏せはしなくていいが、待てくらい覚えられるんだろう?」

尊さんは相変わらずの上から目線で厳命すると背中を向けて、行ってしまう。
ぴしっとスーツを着こなした姿は羽前邸でも見かけるけれど、会社にいるとまた違って見えた。背筋も伸びちゃって、立派な若き実業家って感じ。うーん、1000歩くらい譲ったら、カッコイイと評してもいい。

「社長がうるさいから、秘書室で待ちましょう。コーヒーをお出しするわ」

サラさんが肩を竦めて言う。気のせいかもしれないけど、怒っているような雰囲気を感じた。

秘書室に向かいながらなんとなく思う。もしかして、サラさんって尊さんのこと好き?
たとえ家畜扱いでも、私が尊さんに構われてるのが面白くなかったりする??

そうだとしたら、どうしよう!

サラさん、私に嫉妬しながら世話を焼いてくれてるってことだよね。
せっかく仲良くなれそうな人なのに……、ああもう早く父親を見つけなきゃ。尊さんの家から出られ、晴れて自由な身になったら、サラさんだって安心するよね。
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