ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
「えっと…暇だったから、その…社員の方々を絵に……」
喋ると、
「それ、見せてくれないか?」
と、好奇心旺盛な眼差しで見つめられた。
「……でも、本当にラフなスケッチですし……」
「いいんだ。見せてくれよ、是非に」
言いながら、会社の向かいにあるホテルへ足早に入って行く。
ホテルの一階にあるカフェで、席に座ると、早速ーー
「見せてほしい、さぁ」
その興味津々な顔つきに、抗えそうにもなくて、スケッチブックを差し出す。
ページに目を落として、
「…よく描けてるな。うまく特徴をとらえていて。これは、広報部の連中だな…みんな、いい顔をしている」
ふっと顔をほころばせる。
「会社の居心地がいいからですよ…きっと」
「それは、私が褒められていると思って、いいのか?」
と、紅茶を一口飲む。
「…会長を褒めるだなんて、そんな……でも、あの社員さん達の雰囲気は、会社のイメージそのままな気がしました…」
「…そうか…良かった…」
蓮見会長は呟いて、息を小さく吐くと、口元に柔らかな微笑をたたえた……。
……いい笑い顔……見ていると、いっぺんに魅了されてもしまいそうで、
こんなに素敵に笑うなんて、罪作りなんじゃないんだろうかと感じた……。