ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
夕方過ぎぐらいになって、帰宅のための車を出すーー。
会長は横で腕組みをしたまま眠ってしまって、車を赤信号で止めた時にその寝顔をちょっとだけ覗き込んでみる。
意外と睫毛が長いんだ……だけど、こんな無防備に眠るなんて、気を許し過ぎなんじゃないのかな。
……私だって一応女なのに、これって全然意識もしてないってこと?
だとしたら、なんか寂しくもなるんだけど……いくら結婚してたって………。
「…うんっ…」
小さく喘いで、身じろぎをするのに、
……わかってますか? あなたが、どれだけ魅力的なのか……。
顔をじっと見つめる。
……キスがしたくなるような、うっすらと開いた唇に、
「……そんなに艶っぽいと、キスしちゃいますよ…」
呟くと、「バカみたい……」と、渇いた笑いが漏れた……。