赤に染まる指先
「嫌なくらい、似てる」


「誰が」


吉田は私の頬に手を添えた。


「あんたが、俺に」


吉田が苦しそうな顔をするから、私まで胸が苦しくなった。


「ど…こが」


吉田の言葉の意味はまるで理解できなかった。

だって、私と吉田に共通項なんてあるわけない。

探そうとしたって無理だ、かっこじゃ括れない。


吉田は頬に添えていた手を離して今度は私の手を握った。

赤に染まる指先を。


「報われないって、振り向いてくれないって、分かってるくせに、止められなくて。

好きなひとのつながりを必死に守ろうとする」


吉田は溜め息を吐いて自嘲した。


「ほんと、俺を見てるようでむかつくんだよ。見てられない」


きゅっと、吉田の手が強く私のを包む。

暖かくて、ちょっと骨張っていて。

ああ、私とは違うひとだななんて思った。

だけど、この思いは。

大切なひとに向ける想いは、確かにむかつくほど同じだった。

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