ifの奇跡
土日と重なった事もあり、通夜と告別式には、東京から冬吾も来てくれた…。

翌日は月曜で大学もあったから、泊まりはせずに午後の新幹線で戻って行った。

その時に一緒に美沙にも東京に戻ってもらった。


二人には、本当に支えてもらった。

特に美沙には…感謝してもしきれないくらいだった。


仕事のある旦那さんの幹夫君だけを先に福岡に帰し、お姉ちゃんはしばらくここに残ることになった。

私も学校もなかったししばらく滞在することに決めた。


ずっと気丈に振る舞っていた母が心配だった。


今はまだ後処理なども残っているから気が張っているかもしれないけど、時間が経って私たちも居なくなって母が一人になった時のことを想うと…胸が潰れそうになる程辛かった。

お姉ちゃんも…私と同じ気持ちだった。

ある晩、母が寝静まった後、姉妹でこれからの母の事について話していた時お姉ちゃんがポツリとこぼした。


“ 一周忌が済んで落ち着いたら、お母さんを福岡に呼ぼうと思ってる ”


その時は黙って聞いていたけど、母はきっと福岡には行かないだろうと思った。

母が長年住み慣れたこの家を…この場所を離れることはきっとない。

2週間後、私は卒業の準備や就職準備のために、姉よりも一足早く地元を離れ東京に戻って来た。

母を残して戻る事に、後ろ髪を引かれる思いだったけどまだ暫くは地元に残ってくれると言う姉に母を託した。

久しぶりに帰って来た東京の我が家は、美沙と急いで家を出たあの日のまま…

この空間だけ時間が戻ったみたいだった。

あの日の名残が所々に残っていて生々しく蘇ってきた。
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