ifの奇跡
「ふふ…ゴメンね。」

「笑ってるし…やっぱ確信犯だな。」


この日は、少しだけ二人でお酒を飲んで………身体を洗ってあげると言って聞かなかった冬吾をどうにかなだめ落ち着かせて、一人でゆっくりとバスタイムを過ごさせてもらった。

多分、冬吾も本気ではなかったんじゃないかな…

私を少しでも笑わせようとしてくれている彼の気持ちは伝わってきていた。


翌日は快晴だったから、冬吾の言葉通り私たちは車でお台場に来ていた。


2人で手を繋ぎ、ゆっくりと流れていく時間に身を任すように浜辺を歩いた。

天気は良くても…まだ頬をかすめる風は冷たくて

冬吾が私の首に自分のマフラーを巻いてくれた。

まだ学生の身だから夜景の見えるホテルでのディナー…とはいかなかったけれどレストランで食事をした後、夜のお台場デートの定番でもある大観覧車に乗った。


ゴンドラから見える東京タワーやレインボーブリッジの夜景が…本当に綺麗過ぎて非日常の世界に来たような錯覚を覚えた。

こんなに綺麗な景色やキラキラと輝く時間を大好きな人と、一緒に共有することが出来る現在(いま)を本当に幸せだと思った。

肩に乗せられた冬吾の腕の重みさえも愛しく感じた時間だった。

どこまでも広がるこの世界を目に焼き付けるかのように眺めていた時、

不意に名前を呼ばれて後ろを振り返った。


すぐ目の前には愛しそうに私を見つめる冬吾がいて…

ちょうど頂上に差し掛かったのと同じタイミングで、2人の時間が止まったような気がした。


「冬吾…?」
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