ifの奇跡
「ここからは…俺と莉子の2人だけでお祝いな。」


そう言って目の前のグラスにシャンパンを注いでくれる冬吾。

白い箱も開けてくれると、中には小さくて可愛いプチケーキがいくつも入っていた。


「うわ〜可愛いし、美味しそう。」

「女子会でさんざん飲んで食べてくるだろうし、このくらいのサイズだったら食べれるかと思って。」

「冬吾…めっちゃ嬉しい。それに全然食べれる。本当にありがとう。」


その可愛いケーキも以前雑誌の特集で載ってて食べてみたいと思っていたものだった。



冬吾の優しさに身も心も包まれて幸せな夜を過ごした。



1週間後には新社会人としての新しい生活がスタートする。

入社式は4月だけれど、その前に約1週間の日程で新卒メンバーの研修が始まるのだ。

内定をもらった会社は都内に本社があり、地方にもいくつか支店がある大きな商社だった。

研修には自宅から通った。

地方勤務で都内以外の所から来ている子たちは、会社が用意してくれているホテル生活の子もいたが、私の勤務地は都内だし家もある。

毎日毎日、研修が終わって家に帰ると、ご飯を作る気力もないくらいに疲れていた。

慣れない毎日だったから、気疲れが半端なくて買って来たお弁当を食べお風呂に入ると翌日に備えて早々に布団に入った。

そんな状況だったから研修が始まってからは冬吾とは会っていなかった。

だけど、毎日メールか電話のどちらかでは必ず連絡は取り合うようにはしていた。

そんな生活も残りあとわずか…。

入社式が済んでしまえば、後は正式に各部署に配属されて本当の社会人生活がスタートする。
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