ifの奇跡
日々、新しい事を覚え失敗を繰り返しながらも着々と時間は進んでいく。

同期で気の合う友人もでき、優しい先輩や上司の中で忙しい毎日を過ごしながらもう季節は秋を迎えようとしていた。

冬吾の方も夏までは就職活動真っ只中で毎日忙しそうだったけど、念願の会社に就職が決まった。

何度かお会いしたことのある冬吾のお父さんは会社を経営する社長さんだった。

冬吾の父は自分の会社に入ってもらうつもりでいたらしいけど彼にはどうしてもやりたい仕事があるらしい。

彼は3人兄弟の次男で、会社は長男であるお兄さんが継ぐからいいのだと彼は言っていたけど。

今しか出来ない事ってきっとあると思う。

だからこそ、自分の夢に向かって挑戦していく冬吾を私も応援していた。

そしてそんな彼との関係も、ずっと変わらず順調に続いていた。

変わったことと言えば今では彼の実家にも時々お邪魔させてもらうようになり、ご両親ともそこそこ良好な関係を築いているという事。

そして冬吾の3歳上のお兄さんと、高校1年生の弟君とも顔見知りになった。

お兄さんの健吾さんは、面倒見がすごく良くて弟である冬吾ともすごく仲が良くて、私のことも妹のように可愛がってくれた。

弟の慎吾君も、私のことを姉のように慕ってくれていて本当に仲の良い素敵な家族だった。




実家の母にも、なるべく定期的に電話をするようにしていた。

父の四十九日の法要が済むまでは姉も実家に残ってくれていたけれど、今は福岡に帰っていた。

母は頻繁にかける私の電話代を気にしていたけど、顔が見れない代わりに母の元気そうな声を聞かないと安心できなかった。



だから…私も油断をしていたのかもしれない。

どんな時も気丈で弱音を吐かない母だと知っていたのに………
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