Spider
「ち、ちがっ」

心臓がばくばくとうるさい。
人気のない公園にふたりきり。
さっきまで考えてたことが、急に現実味を帯びてくる。

「来てくれるだけでも嬉しいのに。
さらにそんな格好されちゃ、期待したくなりますよ」

かしゃん、目の前のフェンスに絡まる彼の両手。
後ろから感じる、彼の体温。
すぐ耳元の、彼の吐息。

「ずっと……好きだったんですよ」

……ちゅっ、耳の後ろに落とされた口付けに、身体中を熱が駆け回る。

「……!」

「どうして黙ってるんですか?」

ちゅっ、また落ちる、口付け。

「黙ってたら、わかんないですよ」

ちゅっ、再び。

遠くなった、花火の音。
耳につくのはうるさい、自分の心臓の鼓動。
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