島…君をレンタルしたいカナ
「俺自身の専門がそっちだから。動物病院でもなかなか小動物を診てくれる所って少ないからね」


「じゃあペットハウスだけじゃなくて病院も併設すればいいんじゃない?」


余計な一言を言う賢太に島さんは、「まぁお金があれば」と話した。
人間の病院だって一から建てれば元になるお金が要るんだから、多分動物だって同じだろう。


珍しく会話が弾んだ夕食を終えて、彼を家の前で見送った。
短くクラクションを鳴らして去って行く軽自動車の背中を見つめながら幸せな気持ちに浸る。


あの島さんとお付き合いできる。
明日奈緒に報告したら、「やったじゃん!」と叫んで大騒ぎされそうだ。


ニヤつく頬を両手でサンドして家の中に入った。

母と賢太にはまだ黙っておこう。
マコト君の時みたいにフラれることも考えられるし。


だけど、島さんはマコト君のことを「つまらない奴」とアッサリ言い捨てた。
自分は彼と同じことはしないという自信が何処かにあるからなんだろうか。



「あっ、あのオウムのこと聞くの忘れた!」


あの日以来、お店でも見かけてない。
もしかして、誰かに飼われることになったんだろうか。


明日、仕事帰りに寄ったら聞いてみよう。
ヨーコという名前にした経緯も合わせて教えてもらえるといいな。


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