嫌い、嫌い、好き。
嫌い、嫌い、嫌い。
“嫌い” と “好き”
は対のようでいて
実は紙一重なのかもしれない。
あたしは、北条彰(ほうじょう あきら)が大嫌いだ。
「いやー、ほんっと面白かったんだよなー」
誰かの気持ちに鈍感なところとか
「で、そんときも2人で笑って」
かと思えば周りの雰囲気はいち早く察するし
「もうもうヤバイくらいに超超可愛くてさ」
何かと気さくだし、優しいし
「ああー本当に良いよな」
くしゃっと笑ったときの笑顔とか
「もうヤバイ!!本当にヤバイ!!」
あたしの気持ちに気づいてくれないところとか
「いやーホントに可愛いよな、真里花 (まりか) は」
楽しそうに、誇らしそうに彼女の話をするあんたが
──本当に大嫌いだ。
< 1 / 39 >