江戸女と未来からの訪問者
「お代官様ごっこをせぬか?」

「何ですか、それは?」

「お代官様ごっこを知らぬのか」

「知りません」

「テレビで時代劇はやっとらんのか?」

「やってません」

「そうであるか」

 時代劇をやらぬとは、未来のテレビ局は何を考えておる。

 いったいどういうつもりじゃ!

 まったくもってけしからん!

 許せんぞ! 許せんぞ!

 抗議の電話じゃ! 抗議の電話じゃ!

 今から抗議をしておかねばならん!

 おっと、私としたことが。

 怒りで我を忘れてしまっていた。

 ご先祖様が見ておる。

 殿方も見ておる。

 抗議の電話は、また今度にするべし。

 

「まあよい、余がやり方を教えてしんぜよう」

「はい。よろしくお願い致します」

 また顔を赤らめておる。

 生唾を飲み込んでおるではないか。

 本に知らぬのか?

 お主は、スケベであるか。

 楽しみじゃのう。楽しみじゃのう。

 本に本に、胸がときめくのう。
< 21 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop