江戸女と未来からの訪問者
「この帯を引っ張って、私を回すのじゃ」

「はい。わかりました」

「心ゆくままやってみるがよい」

「はい! 頑張ります!」

 ほう。

 実に見事な回しっぷりじゃ。

 お主、なかなか出来るのう。

 あれー! あれー! あれー! あれー!

 お代官様ー! お代官様ー! お戯れをー! お戯れをー!

 目が回るのう。目が回るのう。

 愉快じゃ、愉快じゃ、余は愉快じゃ。

 幸せじゃ、幸せじゃ、余は本に幸せじゃ。

 は! なんたる醜態を。

 喜びの余り、また我を忘れてしまったではないか。

 ご先祖様の手前で、お代官様ごっこをするなど。

 不潔極まりない汝になってしもうた。

 これでは、あの汝と同じではないか。

 木之下家の名を汚してしまった。

 もう生きておれん。

 潔く切腹すべし。
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