煙草?どっち?
「はぁっ!?」

私の一言に、課長が珍しく動揺した。
でも私は、別れる気満々で。

「ちょちょちょ、ちょっと待て」

「待ちません。
じゃあ」

「待てって」

慌てて煙草を消すと、縋るように腕を掴んできた。

捨てられた子犬の顔。

いい気味。

「僕が悪かった」

「知りません、そんなの」

ふいっと目を逸らし、その場を去ろうとするけど腕を離してくれない。

「……手。
離してくれますか?」

「やだ。
離したら帰るだろ」
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