キミノテノヒラノウエ。
私がベットにもたれて眠っていると、
夜になって薫ちゃんが目を開けた。

「てまり、帰ってて良かったのに…」と言うので、

「これじゃ帰れない。」と繋がれた手をギュッと握ると、

「…俺はてまりに甘えているな。」と照れ臭そうに笑って、

「もう、10時だから、帰って寝なさい。」と顔を引き締めた。

「明日ね、お休みにしてもらったの。
ヨウスケ君が仕事変わってくれるって。
それに…
個室だからって、野村先生が付き添い用のベッドを貸してくれた。
だからね、今日は泊まります。」


…スタッフの人が代わる代わる私を見に来ているような気がするけど

仕方ないでしょ。

恋人って事になってるし…


私が薫ちゃんに笑いかけると、

「そっか。仕事仲間に思い切りからかわれそうだけど…
すごく嬉しいよ。」

と薫ちゃんはニッコリ笑って私の唇を指で撫で、

「さっきの続きはさせてくれないの?」

と私の瞳を覗くので、
私の鼓動は跳ね上がるけど、

「…ちゃんと治ったら。」と顔をしかめて見せると、

「生意気なチビスケだな。俺にお預け食わせるなんて。」

と薫ちゃんはクッと喉を鳴らして楽しそうに笑い、

「てまり、そばにいて。」

と私に手を伸ばしてくるので、
そうっと近づくと、
薫ちゃんは嬉しそうにわたしをギュッと抱きしめてから、また、目を閉じた。





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