キミノテノヒラノウエ。
薫ちゃんの手術は無事終わって、
ストレッチャーに乗せられて、戻って来た。

大きなかおるちゃんは
数人の医師や看護師さんに「よいしょ」とベッドに移され、
一緒に来ていた野村先生が
もう大丈夫。と私に笑いかけてくれてホッとする。

私が部屋の外で待つと、
モニター付けたり、状態を確認する処置が終わって
「どうぞー。」と看護師さんに笑顔で
ベッドサイドに呼ばれた。



「薫ちゃん。」と声をかけると、

「すぐに元気になる。」

と私の瞳に笑いかけ、手をギュッと握ったまま、
また、眠ってしまった。

スタッフの人達に私が
「ありがとうございました。」
と挨拶すると、何人かが部屋を出て言った。

部屋を出ながら、

『いま、宮下先生ってわらいました?』
『私も見た。』
『雪が降るかも』

『コラコラ君達、宮下だって人の子だって。』

と看護師さんやお医者さん達がたちがクスクス笑って言っていたのは聞こえないふりをしておこう。


私は片手でスマホを取り出し、

薫ちゃんに教えられた実家のお母さんに電話をかけ、

問題なく手術が終わった報告をすると、

「大した事ではないので来なくていいと言われています。
顔を出すと、薫に怒られそうなので、行かないことにしますけれど、
何かあったらいつでも連絡してください。
…お付き合いをしている人が一緒にいてくれると言っていました。
早坂さんがお付き合いをしてくれている方ですよね。
ぶっきらぼうで、愛想のない子ですけど、よろしくお願いします。」と言われ、


「か、薫さんはいつも優しいです。
今はよく眠っていて、痛みはなさそうです。
薫さんが起きたら、また、連絡します。」

と言って、慌てて電話を切った。

薫ちゃんたら、自分のお母さんにも、私と付き合ってるって言ったんだ。

でも…まだ、付き合ってないよねえ

たぶん…


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