嘘つきな婚約者
田所良、私の唯一の彼氏だった。
私の彼なのに、部室で、先輩のマネージャーと熱烈なキスを交わしていた。
その場面を見て、もう男を信じないと決めた。
高校時代の若い多感な私には、ショックが大きすぎた。
私は、2度と彼と会うことはなかった。
辛い気持ちで、高校時代を過ごしてきたのだ、彼を避けるようにして。
その彼が目の前にいる。
初めて木崎良を見た時、似てると思った。
でも、姓が違うし、よく見ると風貌や性格が別人にも思えた。
良さんは、私を優しく抱きしめて、
「ずっと、恵都が好きで、忘れられなかった。再会したのも、運命だと思う。どうか、俺を許して欲しい。何でもするよ。許してくれるなら。」
「頭の中が、真っ白で、何も考えられない。」
「黙っていたことも誤る。ごめんよ。でも、正体を明かしたら、恵都は、俺と仕事をしてはくれないと思った。怖かったんだ。せっかく再会できたのに、また恵都に嫌われるのが。」