嘘つきな婚約者
「これからは、絶対に恵都を傷つけないし、大事にする。世界中の何よりも、第一に恵都のことを優先させる。本当に、誓うよ。だから、お願いだ、俺を許して。」
今度は、良さんは、ぎゅっと抱きしめてきた。
「良さん、苦しい。」
私は、やっと声を出していた。
「ちょっと離れて、冷静になりたいの。」
「いやだ。離したら、恵都を失いそうで、怖いんだ。だから、俺の腕の中で、考えて。」
『良さんってこんな面もあるの?』と、こんな時に良さんを分析している自分に驚いた。
私は、次第に落ち着いてきたようだ。
もう、10年も前のこと。
私も、いい加減大人になり、高校時代のように、飛び出したりはしない。
「ここに居るから、逃げないから、離して。」
「本当に?絶対にここにいる?」
「ええ、約束する。」
良さんは、ゆっくりと離れたが、私の両手を自分の両手で握った。
それが世界で一番大事なものだと、言わんばかりに。