嘘つきな婚約者
「俺の話を聞いてくれないか。」
「わかった、話して。」
「恵都は、思い出したくないとは思うよ。でも、言い訳になるけど、聞いてほしい。
あの時、俺はどうかしていたんだ。恵都と付き合いだして、相当浮かれてた。
急に先輩に好きだと言われて、キスされて。
俺も男だから、つい……」
「つい、何?」
「だから、恵都の前では、嫌われないようにセーブしていたんだ。でも、つい理性がぶっ飛んだんだ。一生の不覚だよ。本当に後悔したんだ。好きで好きでたまらない恵都に嫌われて。」
「私だって、辛くて悲しくて、泣いてばかりいたよ。ずっと胡桃が側にいてくれて、なんとか立ち直ったんだ。唯一救われたのは、良さんが先輩と付き合わなかったことかな。」
「付き合うわけないよ。俺は恵都が大好きだから。本当にあの時は、どうかしていたんだ。」
「私も初めてだから、どうしたらいいのか、わからなかった。幼かったんだね。」
「どうか俺を信じてほしい。さっきも言ったけど、ずっと恵都が忘れられなかった。いまでも大好きなんだ。」
「わかった。良さんをもう一度信じてみるよ。でも、これだけは覚えておいて。今度、良さんに裏切られたら、私は、立ち直れないと思う。だから、私のことを裏切らないと約束して。」