夫の優しさ、夫の強さ
「実は、できるなら、話さずにおきたかったのだが、このまま黙ってはいられなくなった。」
「なあに?悪い話?」
「申し訳ない。紗耶香を傷つけることになってしまって、なんと言って、詫びたらいいか、わからない。」
「どういうこと?さっぱりわからないけど。」
「実は、元の彼女が妊娠した。どうやら、僕の子どもらしい。」
「えっ!だって、とっくに別れているんでしょ。あなたの子どものはずがないよね。」
「本当にごめん。別れてはいたんだが、結婚式のちょっと前に、偶然会って、お互いに飲んで酔っていたから、旦那とうまくいってないと泣く彼女を慰めながら、抱いてしまったんだ。」
と私の前で、頭を下げる正志さんに、私は、言葉がなかった。
私の頭の中が、ぐるぐると回り始めた。
何をどう考えてよいのか、さっぱりわからない。
目の前の正志さんが、すごく遠い人に感じる。