夫の優しさ、夫の強さ
正志さんは、12時が過ぎても、帰って来なかった。
私は何回も携帯に連絡をいれ、メールも送ったが、とうとう朝になっても返信はなかった。
その日、午前11時になって、正志さんは、帰ってきた。
「連絡せずに、ごめんね。飲み過ぎて、みんなで大久保の家に泊まったんだ。」
でも、正志さんからは、家のボディーシャンプーとは違う香りがしていた。
「シャワーを浴びたの?」
と聞いた私を、何故か急に抱きしめてきた。
今思えば、やましい気持ちを誤魔化すために、私をだきしめたのかもしれない。
その時の私には、わかるはずもないことだ。
まさか、彼が、そんなことをするなんて、想像すらしてなかったから。
私は、正志さんの優しさを心から信じていたのだ。