夫の優しさ、夫の強さ


正志さんは、12時が過ぎても、帰って来なかった。

私は何回も携帯に連絡をいれ、メールも送ったが、とうとう朝になっても返信はなかった。

その日、午前11時になって、正志さんは、帰ってきた。

「連絡せずに、ごめんね。飲み過ぎて、みんなで大久保の家に泊まったんだ。」

でも、正志さんからは、家のボディーシャンプーとは違う香りがしていた。

「シャワーを浴びたの?」

と聞いた私を、何故か急に抱きしめてきた。

今思えば、やましい気持ちを誤魔化すために、私をだきしめたのかもしれない。

その時の私には、わかるはずもないことだ。

まさか、彼が、そんなことをするなんて、想像すらしてなかったから。

私は、正志さんの優しさを心から信じていたのだ。
< 8 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop