イケメンなんか大嫌い
「優しいね、未麻チャン」
冷たい指先に手を掴まれ、瞼を伏せた俊弥の頬に充てがわれた。
ドキッと心臓が跳ね、触れた肌は凍てつくように冷たいのに、掌に汗をかきそうだ。
吐き出された俊弥の息が手に掛かって、ぞくっと身を震わせたことを感付かれないよう祈る。
恐る恐る視線を合わせると、わたしの心に気付くか否か、薄く笑みを浮かべた。
それはいつかのような優しい微笑みで、胸がときめき鼓動が大きく鳴り始める。
「飯食い行くぞ」
「……えっ、ちょっとまだ……」
行くとは返事していないのに、掴んだ手をそのまま繋いで歩き出してしまう。
……だからっ、何ドキドキしてんのわたし……。
自分に物申したい気分ながらも、久しぶりに味わう感情が新鮮で、取り戻したことが本当は嬉しかった。
そうだ……好きな人に触れるって、こんなにドキドキするものだった。
心の奥を、薄らと罪悪感が漂ったけれど、それでも押し込めていた心の機微を、思い出してしまった。
着いた店はいつものカフェではなく、先日の二次会で使用した居酒屋だった。
わたしの了解を取る前にさっさと中へ入り、店員に向かって指を2本立てている。
「普段こういう店も、来るだろ?」
「え、うん普通に……」
通されたカウンター席に並び、おしぼりで手を拭きながら、ドリンクメニューに目線を落としている。
「俺は生。お前は?」
すっとわたしの前へメニューを滑らせて、一瞬目を合わせた。
それだけのことに、どういうわけか心臓が高鳴る。
「……じゃ、わたしも生」
向き合っていられずにメニューへ視線を逸らし、答えた。