イケメンなんか大嫌い
とりあえず店員に生2つと蛸わさを注文すると、今度はフードメニューを眺めながら呟く。
「……梅酒とかカクテルとか、甘い酒しか飲まないのかと思ってた」
「……あぁ……まぁ、そんなに得意じゃないけど、ビール飲みたい時もあるよ。此処、ビアカクテルがなかったし」
これまでに飲んだ時の記憶で話しているのかと、驚く。
俊弥は、何を飲んでいたっけ?
「……俊弥は、ちょっと辛め? のお酒が好きなのかな。確か、モヒートとか飲んでたよね」
「……そうだな。焼酎も飲むけど」
「……そうなの」
……何だろう、この会話は。
妙な居心地悪さの正体がわからないままに、目線を宙にさまよわせていたら、沈黙を切られた。
「他には?」
「え?」
「何が好きなの」
目線を合わせずに、背もたれに重心を預けたまま問い掛けられる。
そこで違和感の正体に気が付いた。
わたし達の間に、お互いの趣味嗜好を把握するような友好関係があったんだっけ……?
否、ない。
「……何か、掘り下げて来るね……」
「……埋めたいから。12年の時間」
流れを変えたくて牽制したつもりが、真顔で見つめ返され、思わず赤くなってしまい居たたまれずに首の後ろを掻いた。
……誰なの、この人……。
いつもみたいに意地悪言ってよ。調子狂うじゃん……。
はっ!これも何かの作戦なのか!?