イケメンなんか大嫌い

翌日は勤務中のやり取りはなく、当然連絡も来ないままに週末を迎えている。

正直言って、昨日は就業時間をどうやって切り抜けたのかよく思い出せないが、どうにかして家へ帰り着いたらしい。

カーテンの隙間から射し込む陽の光を微かに感じながら、虚ろな目で空間を何処ともなく捉える。
この週末をどうやり過ごすのか考えていた。
土曜日の午前中、遅めの朝食を取り終えると、ローテーブルの上で頬杖を付き、溜息を吐き出す。

渦巻いた心を持て余したまま、生産性のない休日が終わって行くのが嫌で、友達に連絡しようかと皆の顔を浮かべたけれど、きっと誰と会っても恋バナは避けて通れない。
いよいよ恋人という可能性が消えそうで、希英ちゃんのような反応を受け入れる心の余裕はなかった。

わたしが悪いんだろうな……薄々自覚しながらも、だからと言ってどうして良いのか、判断が付かずにいた。
今俊弥に連絡をしても、きっと上手く話せずに更に状況を悪化させてしまいそうな予感がした。
眉間が寄っている自分を感じ取り、膝を抱えて顔を埋め、唇を噛んだ。

何か片付けておかないといけない用事でもなかっただろうかと、書類が雑多に詰め込まれた押入れの箱の中を覗いてみたが、当ては外れたようで特に何もない。
とてもじゃないが漫画を楽しむ気持ちにもなれず、ベッドにもたれながら散歩でもしてスーパーで買い出しして来ようか、などと思案していると着信音が響いた。
肩から上だけを動かしてテーブル上のスマートフォンを覗き込む。

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