イケメンなんか大嫌い

水曜日の仕事終わりに、中学、高校と一緒だった東 梨花(あずま りんか)と1ヶ月ぶりに待ち合わせた。
絞った照明のお洒落なダイニングカフェで、カクテルのグラスを合わせる。

「愛唯の元彼の幼なじみ? って、幼稚園から3人一緒だったっていう……」
「……うん、まぁそれ」

「そういえば付き合ってた頃、写真見せて貰った。なんかイケメンだったよね? 未麻は小学校卒業以来会ってなくて? たまたま一緒に仕事することになるなんて、凄い偶然だね」

梨花は中1の頃、愛唯ちゃんと同じクラスで、今でも結構親しいようだ。
わたしの愛唯ちゃん情報源は、中学の頃から基本的に梨花だ。
わたし達が幼なじみと知っているから、時々話題に上る。

「ほんと性格悪いの。会いたくなかったのにさぁ……悪態ついたかと思えば、『また会うと思う』とか訳のわからないこと言って……」

前菜盛り合わせの生ハムを頬張りながら、瞼を伏せた。

「……へぇ。愛唯の話では、性格悪いなんて聞いたことなかったけどな」
「そりゃ愛唯ちゃんは俊弥にべったりだったし、感じてなかったんじゃないの? ……ていうか、“わたしのことが”嫌いだったんじゃないかな、あの人」

自分で言っておきながら、何だか気持ちが沈んで行くような感覚がする。
今さら落ち込む必要などないのに。

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