イケメンなんか大嫌い
声の主に心当たりがあり過ぎて、あからさまに怪訝な表情を浮かべ、そろりと振り向いた。
「フォークなんて使ってると思ったら……彼氏の目盗んで被りつくわけ?」
嫌味たらしい笑顔を携え口元に手を添えながら、さも当たり前のように空いているわたしの隣に腰掛ける男。
「あん……なん……」
「いーよなこの店。さすが、ぐるログ1位。誰かさんがしょっちゅうイチャついてるのが、うざいけどー」
人に向かって吹き出した、その反応から想定してはいても尚、腹立たしく顔が引き攣る。
わなわなと手に力が籠った。
「……おい。垂れるって」
クリームが垂れる寸前、俊弥がわたしの手ごと引っ張ってシュークリームに齧り付いた。
「なっ……なにっ……すんのよー!」
瞬時に引っ込めた左手を、右手で庇う。
触れた手と顔が熱を帯びたことを、自分でも感付いた。
「……耳まで真っ赤。未麻チャン」
舌なめずりしながら、にやにやと嫌らしい視線を投げ返して来る。
自分の心臓の音がうるさ過ぎて、頭がくらくらしそうな程だ。
「……ちょっとどいてよ! 賢司くん帰って来るから……!」
やっとのことで俊弥の肩を押すが、すんなり退く気配はない。
「……つーかお前、男の趣味悪くなったんじゃないの? なーんかナヨナヨした奴じゃね」
「……どういうこと」
賢司くんが向かった壁の方へ視線を送りながら言い放たれた、言葉の意味を図りかねて眉を顰める。
「だってお前、俺の手繋いで来たじゃん」