イケメンなんか大嫌い
俊弥の台詞に、耳を疑った。
同時に目の前が真っ暗になり、血の気が引いて行く。
……酷い。何でそんなこと簡単に言えるの?
胸がずくずくと痛み、息苦しさを覚え、口から吐き出される自分の呼吸の音を耳が捉えた。
俊弥の顔が視界の端を掠める。
確かに奴の顔を認識しているが、頭は殴られた様に朦朧としていて、景色が澱んでいる。
見ていられずに膝の上で震える拳に目線を落とし、唇をぎりっと噛み締めた。
「……ざけんな」
込み上げる怒りを抑え切れず、顔を上げ睨み付けた。
「ふざけんな自惚れ野郎。消えろ」
周囲の人達がこちらに注目し、静まり返ったのがわかったが、そんなことはどうでも良かった。
俊弥は僅かに目を見開いた後、一瞬だけ悲しそうな色を瞳に宿した、ような気がした。
そして鋭く冷たい視線を送り返した後、ひっそりと立ち去った。