イケメンなんか大嫌い

──俊弥だって知っていたら、参加しなかったのに。
名前が同じ人だとは思っていたけど、名字が違うし電話していても全く気が付かなかった。
こいつは、いつからわたしに気付いていたんだ?

ざわついている気持ちを悟られたくなくて、宥めようと必死に心を割いたけれど、自然と眉間が寄って来てしまう。

宴もたけなわとなった頃合い、梅酒ロックを煽っていると、スマートフォンが着信を告げた。
普段であれば仕事の飲み会の最中に電話に出たりしないけれど、この心中を聞いて欲しくてお手洗いに立つついでに席を外した。


「もしもし賢司(けんじ)くん?今まだ飲み会中なんだけど、もう最悪なの~」
『あれっ? 未麻(みま)ちゃん、珍しく酔ってる?』

廊下の壁にもたれ掛かりつつ、唇を尖らせる。

「飲まなきゃ、やってらんないんだもんー。だってお客様のひとりがね……」

そう言いかけた瞬間、音を立てて目の前の壁に腕が突き立てられた。

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