イケメンなんか大嫌い
俊弥にアパートまで送られる。
途中の道程で、ダッフルコートのポケットに入れたスマートフォンで時刻をちらりと確認した。
まだ9時半と、そこまで遅くなっておらず、胸を撫で下ろす。
俊弥がアパートの前で歩を止め、じっとわたしを見つめた。
背後の街灯に煌々と照らされて、逆光でよく把握出来ないが、何か眉が寄せられているように見えた。
「えっと……一応、ありがと」
動機が謎ではあるが、食事をご馳走になって送ってもらったわけだから、最低限の筋は通しておかないと。
機嫌を伺うかのように、恐る恐る上目遣いで伝えた。
「……何か忘れてない?」
「……」
傲慢な雰囲気で見下ろす俊弥を躱そうと笑顔を浮かべるが早いか、腕が前に伸びて来た。
目を瞬いた隙に、その手がわたしのコートのポケットに、ズボッと不躾に突っ込まれる。
「ぎゃっ!」
止める暇もなく、スマートフォンが連れ去られた。
「まだ連絡先聞いてねぇんだけど」
「あは……そうだっけ……」
「ばっくれようとしたろ」
「……」
ばれていたか。
苦笑いで誤魔化そうとしたわたしに、蔑むような眼差しが返って来た。
その冷酷な表情が、綺麗だと思ってしまった。