イケメンなんか大嫌い

ストレートの栗色のボブヘアに指を通しながら、目を見開いたわたしを大きな瞳が見つめている。
ドキッと一度、心臓が跳ねた。

「これなら動揺する? 未麻」
「……ばっかじゃないの、どいてよ」

「ふーん、じゃあこれは?」

瞼を伏せたわたしの髪をそのまま掻き分け、左耳に息を吹き掛けられた。

「……んっ」

不覚にも、身体が僅かに震える。

「……彼氏いんのに他の男に感じてんなよ、やらしい女だな」

言い放つと嘲笑うようにクッと声を漏らし、わたしから離れた。
そして満足したかのように去って行った。

……何だこいつ……ふざけんな。
後ろ姿を視界に入れながら、わたしは久しぶりに腸が煮えくり返る感覚に襲われていた。

昔は子どもだった分まだ可愛げあったけど……何なのこの憎たらしくて失礼極まりない男!!

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