イケメンなんか大嫌い
これだからイケメンという奴は嫌いなんだ。
自分のことをかっこいいと思っていて、女をナメ切っている。
神様がいるのなら、意地悪だ。
その元凶となった奴に、どうして今さら再会しなくちゃならないの?
席に戻ると怒りに任せて梅酒を一気飲みしてしまい、しまったと気付いた時には皆が唖然としていた。
わたしとしたことが……こういう場で羽目を外すことがないよう、普段なら気を配っているのに。
俊弥がにやにやしながらわたしを見ていて、一層腹が立った。
じきに会はお開きとなり、店を出る。
「香坂さん、ずいぶん酔ってない? 大丈夫なの?」
「珍しいね、香坂さんがそんなに飲むなんて」
西田さんが心配そうに顔を覗き込んでくれていた。
前園係長も不思議そうに首を傾げている。
「だっ大丈夫です! おかまいなく!」
「家どこ? 途中まででも送って……」
「いえっ! 帰れます!」
まさかお客様にそんなご迷惑をかける訳には!
両手を開いてぶんぶんと振っていると、背後から声が響いた。
「僕が送って行きますよ」