熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
『ムスタファ、私は、すでに廃位した。
すでに日本人だ。その私に何ができる?』

ムスタファは、
ファイサルの腕をつかんで必死に説得する。

『議員だってバカじゃない。
国民が王に望むのは、
シーク・ファイサルだと分かってるから、
ハーキムが第一王子につくことを拒否したんだ』

『だから、言っただろう。
私は、すでに日本人だ。ビジャール国民じゃない』

『残念ながら国籍は抜けてないよ。
ファイサル。法律を改正したんだ。

王族に限っては、
籍を抜くときに議会の承認が必要になった。
だから、国王の署名だけでは不可能だ』

『なんだって?』

『だから、あんたは日本人じゃない。
いまだにビジャール国の王子だ。

悪いことは言わない。
早く戻ってくれ。
ビジャールを無茶苦茶にするつもりか?』

ファイサルの表情は
見えなかった。

でも、私は絶望的な気持ちで聞いていた。


『一週間くれないか?』


『そんなに待てない』


『事態が変われば教えて欲しい』


『分かった』

私は、冷蔵庫のドアの前で
凍り付いていた。

やがてドアが開く音がして、
ムスタファが出て行ったのが分かった。
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