熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「私もだよ。
会いたかった。千紗に時々、君の様子を聞いていた。
どうしているのか。
何か困ったことはないのかと気をもんでいた」
黒い大きな瞳を潤ませて彼は言う。
「私の事情は、
千紗から聞いて知っていたんだ」
「そうだよ。
君のことは片時も忘れていない。今でもね」
「それなら、
もっとやきもきさせればよかったわ。
過去のことなんか忘れて、もっと恋をして。
いい思い出を作ればよかった。
戻ってくるのかどうか
分からない人なんか、待たないで。
好きだって、言ってくれた人に
ついて行けばよかった」
「美夜……すまない」
「どうして謝るの?」
胸が詰まって苦しくなった。
話なんか聞きたくない。
お願い。何も言わないで。
「東京のマンションは、
君の名義に変えておいた。
部屋の中にあるものは、
君の好きにしていい。
当面、生活に困らないだけの資金も用意した。
私が持っている会社の株を、
君にそのまま渡すから、
君は仕事を続けていけるし、
会社の経営権まで口を出せる」
「そう、ずいぶん気前がいいのね」
「それに、
ビジャールの議会が
私の廃位と国籍離脱を突っぱねた。だから……」
「あなたは、
いまだにビジャールの王子様で、
日本人ではないってこと?
だとすれば、私たちは……
結婚してなかったことになったのね?」
「そうだ」