熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「思うんだけどさあ、踏ん切りつくの?
ファイサルって特別じゃない?
あの、池山さんがかすんでしまうほど」
千紗が遠慮なく言う。

私は、せめてサラダだけでも胃袋に入れようと、フォークで掬い取って、無理やり口の中に押し込む。

「手が届かないアイドルやスターに憧れるのと一緒なのよ。

所詮、別の世界で生きてる人。
月を眺めて、あそこに行きたいって言ってるのと同じよ」

私だって、そんな状態がいいだなんて思ってない。
気が付いたら、お婆さんになってたなんて、シャレにならない。

「でもさあ、そんな、眺めてるだけなんて。私は無理だな」

「ん?」

「彼に会わずに、3カ月もいられないな」
明らかに誰かのこと思い浮かべてる様子。

「ちょっと待って、千紗。そのこと何にも話してくれてないよね?」
本当だったんだ。
千紗、ムスタファとのことずっと黙ってたんだ。

「だって聞かれてないもん」千紗は、白々しく言う。

「少なくとも、デートしてたようには見えなかったけど」
記憶を思い起こしても、二人でいたところなど浮かんでこない。

「日本にいないからね」

「それで、あんなに海外ばっかり行ってたんだ」

「うん。美夜、行先どこ?とか、お土産は?とか、言わなかったよね?」ニヤッと笑う千紗。

「何、それ。いつから続いてるの?」

「もう、6年は経ってるかな」

「そんなに?って、学生の頃から?
どうして言ってくれないの?」

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