熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
『どうして?ダメなの?
こんなに頼んでるのに?』

ファイサルは、
軽く手の甲や指に触れるような
キスを何度も繰り返した。

私は、どうしていいのか分からず、
されるがままになって呆然としていた。

ファイサルは、
私の戸惑った様子を見て、
私の手をもう一度ギュッと握りしめる。

『可愛い。食べてしまいたい』

『えっと』

意味ありげで、愁いを帯びだ黒い瞳に
じっとみつめられて、
どうにかなりそう。

『habibti美夜。素敵だよ』

『ファイサル、ちょっと待って』

アラブ語は分からなかった。

抱きしめられて頬にキスされた。

初めて、ファイサルが
私とそういう関係になりたいと
思ってるっていうことは分かった。

でも、私は彼に特別な
感情を持っているわけじゃない。


だいたい、私は、
ファイサルのことはよく知らない。

それに、彼も分かってるんだろうと思う。
私は、池山先輩が好きなんだ。

どうして、
私はファイサルについてきたんだろう。

『止めてください』

『君に、何でも好きなものを
やるって言ったら?宝石でも、車でも、
不動産でも何でもいい』

私は、少し考えてから言う。


『だったら、時間をください』

『時間?どうして』

『なんでもくれるって、
言ったでしょう?』

『わかった。
時間をもらったら、どうするんだ?』

『私、一人になる時間が欲しいわ。
誰にも邪魔されない一人の時間が』

彼の瞳が大きくなって、
次第に微笑みに変わった。
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