愛され系男子のあざとい誘惑
「・・・優美ちゃん。俺、優美ちゃんのこと最初はその、他の女の子と同じだと思ってた。俺が優しくしたらすぐに落ちるだろうなって。だからそのターゲットにしてました。ごめんなさい!」

パッと体を離され、さっきより少し弱々しい声で話す社長はシュンとうな垂れた子犬のよう。ちょっと傷ついたけど、それよりどうしよう。可愛い。

私、こういうちょっと男の人の弱々しい部分にキュンとしてしまう。そして、ちょっとだけいじめたくなっちゃう。


「・・・そうだったんですか。社長の思惑通り落ちちゃいましたね、私」


声のトーンを下げて落ち込んだ表情を浮かべてみた。やっぱり聞いていい気持ちにはならない。でも、ちょっとだけ過剰演出を取り入れてみた。どんな風な返事が来るのだろうかなと。


「違うよ!俺が落とされたんだよ」


「・・・他の人と違うってことですか?」


「うん。だってここには姉貴以外の人を入れたの初めてだし、言ったよね?ようこそ、俺の花嫁って。優美ちゃん、俺と結婚してください!」


「け、結婚?!」


いきなり何を言い出すのかと思ったら結婚?!さすがにそれはない、無理すぎる。お付き合いはしたいと思ってた。


身分が違うとかそんなことも悩みはあるけれど、一夜限りなんて絶対に嫌だったし、好きだから。でも、結婚なんて全部すっ飛ばし過ぎ!
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