スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
副社長の高級車に乗ると、すぐに車は走り出した。この車に乗るのは所長に会いに行ったとき以来で、どこか緊張する。

「まったく、広瀬さんはムチャをするな」

クックと副社長が笑ったからか、少し落ち着いてきた。我ながら、さっきは熱すぎたと思う。

「だって……、許せなかったんです」

「まあ、普通はそうだよな。事務ミスで済まされる話じゃないし」

「いえ、それだけじゃなくて、自分自身にも……」

無意識にため息がもれる。すると、副社長は一瞬、視線を私に向けた。

「どういう意味?」

「自分の見る目のなさです。実は、社長さんからあの日、橘副社長の話を伺ったんですよ……」

私は社長から聞いた話を、副社長に伝えた。すると副社長は、今度は照れくさそうな笑みを浮かべている。

「ハハハ。そんなこと言っていたのか。俺は単に、あの会社の成長性を感じたからで、特別なことはなにもしていない」

そう話す副社長に、私も自然と笑みが浮かぶ。運転中でなければ、もっと目を合わせて話したいくらい。

「だから、自分の見る目のなさを痛感して……。私、橘副社長を誤解していました。もっと権力を鼻にかけたイヤミな方だと思っていて……」

おずおず言うと、副社長は今度は苦笑いをした。

「今回の件で、広瀬さんが責任を感じることはない。それに、俺の印象は、あながち間違ってないかな。これから見せる姿で、広瀬さんには嫌われるかもしれない」

「え……?」

その意味が理解できないまま、私たちは十五分後、発注していたメーカーに着いた。
< 23 / 257 >

この作品をシェア

pagetop