スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
ここへ入るつもりだったのかもしれないけど、小さな黒板に貸切のお詫びが書いてある。

だけど亮平さんは構わずドアに手をかけた。

「そうだよ。貸切。今夜は、実和子と俺の……」

「えっ?」

彼に肩を抱かれ促されるまま店に入ると、オレンジ色の灯りで照らされた店内が目に入る。

柔らかく心地良い雰囲気だけど、店員さんは出迎えない。

それどころか、人の気配を感じなかった。目の前に見えるテーブルには、キレイなピンク系のプリザーブドフラワーが置かれてあり、小さなキャンドルが灯されている。

「亮平さん、いったいこれは……?」

状況が飲み込めない私に、亮平さんはクスッと笑った。

「実和子、本当に忘れてるんだな。今日は、お前の誕生日だろ?」

「あっ⁉︎ そういえば……」

すっかり忘れていた。仕事が忙しかったのと、今夜は貴也さんのパーティーに行かなければいけなかったのとで、自分のことは抜けていた。

「そういうところ、実和子らしいな」

亮平さんに促されるまま、席に着く。この華やかなプリザーブドフラワーは、私へのプレゼントらしい。

「誕生日、おめでとう」

「ありがとうございます……」

まさか、そのために貸切にしてくれたの? 思いがけないサプライズに感動して、涙が浮かんでくる。
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