スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
目を見開いて驚きを隠せないでいると、部長は苦笑いをした。

「そんな動揺しなくても大丈夫だって。俺がサポートするし、どうやらサービス業にも力を入れたいという理由で、こだわりがいろいろあるらしい」

「そうなんですか……。それで、橘副社長が来られるんですね。手広く経営するなんて、ちょっと怖いかも」

株主でもあるから口を挟むんだろうけど、橘副社長くらいの権力のある人がやることには嫌みすら感じる。

グローバル企業のナンバーツーの権力者なんだし、きっと感じの悪い人なんじゃないかな……。

不安と緊張を感じながら、資料に目を落とす。部長からは、「特別なクライアントだと思わずに、リラックスしていこう」と言われてしまった。

「ちょっと実和子ってば、もっと喜べばいいのに」

部長とのやり取りを聞いていたらしい隣のデスクの同期、優奈(ゆうな)が口を尖らせて声をかけてきた。

優奈は、目鼻立ちのはっきりとした美人で、栗色の髪をいつもひとつに束ねている。

スラッとしたスタイルで、私と同じく事務とインテリアコーディネートの仕事を兼任していた。

「喜ぶって、なにを?」

不満顔をされたことが理解できず、私はしかめっ面を彼女に向けた。

「だから、橘副社長と仕事ができるってこと。 あとでネットを検索してみなよ。びっくりするほどイケメンだから」
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