いつも、雨
泉は、ふんふんと相槌を打ちながら聞いて、それからしみじみと言った。

「なるほどなあ。自分、やっぱり社長と似てるわ。頭がええと、勝ち目のない勝負できひんねんなあ。」

「……父にも、そんな一面ありましたか?」


義人の知る父親に、弱気なところはない。


泉はニヤニヤ笑って、小指を突き立てて見せた。


……女?

え?

女?



ポカーンとした義人の背中をバンバン叩いて、

「汗流してくるわ。」

と、泉はジムを出て行った。



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まいらが2度目に目覚めたとき、もう、泉はいなかった。


いつも通り、ペットの鳥のお世話をしてから、まいらは着替えて部屋を出た。



「おそいわよ。まいら。夏休みだからって、おじいちゃんとお父さんに、いってらっしゃい、言える時間に起きんと。」

母の希和子はそうたしなめながら、コーヒーを入れ直した。


「はぁい。ごめんなさい。……クマのおじさんは?」


くま?

……ああ、お客様のことね。


「おじいちゃんと一緒に、出られたわよ。お元気なかたねえ。ジムの機械が壊れたそうよ。」

「うん。見た。びっくりした。……てか、マシンが限界訴えてピーピー警告してるの無視してはって壊さはってん。あれ、だぁれ?」

「うーん……私もよく知らんのよね。……おじいちゃんの、お友達。競輪選手ですって。泉さん?」


いずみ?

……そんな綺麗な名前、イメージじゃない。


やっぱり、クマやな。



「とりあえず、今日、壊れたマシンを引き取りに業者さんが来られるから。夜は、さっちゃんと薫くんも来るし……夕食、どうしようか?」

「んー。お庭でバーベキュー。……お母さん、孝義くんとこ、行かなくていいの?」



孝義の妻が亡くなるまで、義実家の寺にほぼ日参していた希和子だが、その回数は目に見えて減っていた。

まいらも、夏休みに入り、希和子がのんびり家にいる異常事態に気づいたようだ。



「……ん……。」


答えづらそうな希和子に、まいらは重ねて尋ねた。

「孝義くんと、喧嘩したの?私が行って、謝ってきてあげようか?」

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