いつも、雨
泉は、ふんふんと相槌を打ちながら聞いて、それからしみじみと言った。
「なるほどなあ。自分、やっぱり社長と似てるわ。頭がええと、勝ち目のない勝負できひんねんなあ。」
「……父にも、そんな一面ありましたか?」
義人の知る父親に、弱気なところはない。
泉はニヤニヤ笑って、小指を突き立てて見せた。
……女?
え?
女?
ポカーンとした義人の背中をバンバン叩いて、
「汗流してくるわ。」
と、泉はジムを出て行った。
********************************************************************************************************
まいらが2度目に目覚めたとき、もう、泉はいなかった。
いつも通り、ペットの鳥のお世話をしてから、まいらは着替えて部屋を出た。
「おそいわよ。まいら。夏休みだからって、おじいちゃんとお父さんに、いってらっしゃい、言える時間に起きんと。」
母の希和子はそうたしなめながら、コーヒーを入れ直した。
「はぁい。ごめんなさい。……クマのおじさんは?」
くま?
……ああ、お客様のことね。
「おじいちゃんと一緒に、出られたわよ。お元気なかたねえ。ジムの機械が壊れたそうよ。」
「うん。見た。びっくりした。……てか、マシンが限界訴えてピーピー警告してるの無視してはって壊さはってん。あれ、だぁれ?」
「うーん……私もよく知らんのよね。……おじいちゃんの、お友達。競輪選手ですって。泉さん?」
いずみ?
……そんな綺麗な名前、イメージじゃない。
やっぱり、クマやな。
「とりあえず、今日、壊れたマシンを引き取りに業者さんが来られるから。夜は、さっちゃんと薫くんも来るし……夕食、どうしようか?」
「んー。お庭でバーベキュー。……お母さん、孝義くんとこ、行かなくていいの?」
孝義の妻が亡くなるまで、義実家の寺にほぼ日参していた希和子だが、その回数は目に見えて減っていた。
まいらも、夏休みに入り、希和子がのんびり家にいる異常事態に気づいたようだ。
「……ん……。」
答えづらそうな希和子に、まいらは重ねて尋ねた。
「孝義くんと、喧嘩したの?私が行って、謝ってきてあげようか?」
「なるほどなあ。自分、やっぱり社長と似てるわ。頭がええと、勝ち目のない勝負できひんねんなあ。」
「……父にも、そんな一面ありましたか?」
義人の知る父親に、弱気なところはない。
泉はニヤニヤ笑って、小指を突き立てて見せた。
……女?
え?
女?
ポカーンとした義人の背中をバンバン叩いて、
「汗流してくるわ。」
と、泉はジムを出て行った。
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まいらが2度目に目覚めたとき、もう、泉はいなかった。
いつも通り、ペットの鳥のお世話をしてから、まいらは着替えて部屋を出た。
「おそいわよ。まいら。夏休みだからって、おじいちゃんとお父さんに、いってらっしゃい、言える時間に起きんと。」
母の希和子はそうたしなめながら、コーヒーを入れ直した。
「はぁい。ごめんなさい。……クマのおじさんは?」
くま?
……ああ、お客様のことね。
「おじいちゃんと一緒に、出られたわよ。お元気なかたねえ。ジムの機械が壊れたそうよ。」
「うん。見た。びっくりした。……てか、マシンが限界訴えてピーピー警告してるの無視してはって壊さはってん。あれ、だぁれ?」
「うーん……私もよく知らんのよね。……おじいちゃんの、お友達。競輪選手ですって。泉さん?」
いずみ?
……そんな綺麗な名前、イメージじゃない。
やっぱり、クマやな。
「とりあえず、今日、壊れたマシンを引き取りに業者さんが来られるから。夜は、さっちゃんと薫くんも来るし……夕食、どうしようか?」
「んー。お庭でバーベキュー。……お母さん、孝義くんとこ、行かなくていいの?」
孝義の妻が亡くなるまで、義実家の寺にほぼ日参していた希和子だが、その回数は目に見えて減っていた。
まいらも、夏休みに入り、希和子がのんびり家にいる異常事態に気づいたようだ。
「……ん……。」
答えづらそうな希和子に、まいらは重ねて尋ねた。
「孝義くんと、喧嘩したの?私が行って、謝ってきてあげようか?」