いつも、雨
「私もね、イロイロ考えたのよ。実際、孝義くんはまだ若いんだもん。再婚すべきだと思う。でも、あんな、奥さまが亡くなるのを待って、群がってきた人たちは、嫌やわ。」

「うん。嫌や。……てか、孝義くんが、そんなんに引っかからんやろ。」

「……だといいけど……。さすがの孝義くんも、気落ちしてるからなあ。……完全に政略結婚に乗っかったほうが楽かもしれんとか言い出しかねないのよね。……せめて、お子さんがいたら、また違ったんだろうけど……。」


また一つため息をついた母にイラッとして、まいらは強い口調で言った。


「私が行く!」

「……行くって……どこへ?お寺?」


私の代わりにお手伝いに行くって意味かしら……と、のんきに考える希和子に噛みつくようにまいらは宣言した。


「孝義くんの後妻になる!」

「……えー……。」



娘の初恋が孝義だということはもちろん知っていた。

しかし、さすがに中学生にもなれば、母親と同い年の既婚者への憧れでしかない初恋なんてとっくに終わったと思っていた。



途方に暮れる希和子に、まいらは言った。


「反対しないでね。しても無駄やけど。でも、できたら、応援してほしい。……孝義くんにとって、お母さんは今も特別な存在やから。」

「反対はしないけど……お父さんは、ショックかも……。……えー……。……てか、お母さんも、かなりショックみたい。……えー。まいらが孝義くんと?……えー……。」

「ん?なんか、誤解した?私が、孝義くんのことをずっと好きなだけで、孝義くんは、相手にしてくれてないよ?これから、頑張るの。あと3年で結婚できるもん!」


……いや、それは……さすがに、誤解のしようがないでしょう。


希和子は苦笑するしかなった。



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その夜、希和子は寝室で夫の義人に娘の恋の話をした。


希和子が拍子抜けするほどあっさりと、義人は娘の恋を受け入れていた。

「頑固な子やしなあ。反対しても無駄やろ。……俺が孝義くんなら、とっくにほだされてるけど……彼は、意志が強いからなあ……どうかなあ……。」


「本当に、反対しないの?19も歳が離れてるのよ?いいの?」


希和子の糾弾がおかしくて、義人は笑った。


「何で?孝義くん、ええ奴やで。……希和が、昔、彼とつきあうゆーたときかて、俺、反対できひんかったのに……。」
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