いつも、雨
「怪我の功名って……。」

「ん?だって、まいら、孝義くんと一緒に居られることになったんやろ?……絶対、浮かれてるわ。」


ニヤリと笑った義人を、希和子は睨んだ。


「もう!いまだに義人さんの頭は色恋沙汰でいっぱいなの!?まいらは、おじいちゃんに裏切られたと感じて傷ついてるのよ。」

「うん。まあ、それはかわいそうやけど……でも、まいら、孝義くんに保護されるのは喜んでたやろ?にやけてへんかったか?」


義人にしつこく聞かれて、希和子は渋々うなずいた。

でも、すぐにまた真剣な顔になって、義人に訴えた。


「問題をすり替えないでね!まいらの恋は置いといて、家族の話をちゃんとしてあげて。……私がこの家に来る前の話も、してあげて。このままじゃ、あの子、おばあちゃんがかわいそうとしか思えなくて、おじいちゃんを恨んでしまうと思うの。……おばあちゃんが、亡くなる前に、とても幸せだと繰り返し伝えてくれたことも……おばあちゃんは騙されてたとか勘違いしてしまいそうで……。」


希和子の目からぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。



義人は、希和子を胸に抱きしめて、背中をさすった。


「わかったわかった。大丈夫だよ。……俺自身、昔は、お父さんに不信感しかなかったからさ、……今のまいらの気持ち、わかってるつもりや。」


希和子は黙って義人の言葉を聞いていた。


義人が請け負ってくれたことで、安心したのだろうか。

そのうち、とろーんとまぶたが下がってきた。



「……ん?……希和?」


力が抜けた希和子の身体を、義人はそーっとベッドに寝かせた。


子供のような寝顔に、義人の頬がゆるむ。


……まつげが、涙でまだ光っている。

義人は、そっと希和子のまつげに口づけた。



この家が変わったのは……お父さんの言う通り、希和のおかげなんやけど……そこのところは、ちゃんとわかってるのかな。

希和が来てくれて、家族が、昔のように、ちゃんとした家族の形態を取り戻したんだ。


あのお父さんがマイホームパパになり、学校行事にまで参加するようになって……家族旅行も復活して……お母さんがどれほど喜んでいたか。


すべて、希和のおかげ。

それから、まいらを産んでくれたおかげなんだよ。



……まいら……。

大丈夫かなあ……。

思い詰めてないといいけど……。

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