いつも、雨
すると、それまでニコニコ見ていた幽霊の高子(たかいこ)が口を開いた


「ありがとう。よろしくね。愛してるわ。」


そうして、すーっと消えてしまった。



まいらは、目を何度もこすり、きょろきょろと高子の姿を探した。

しかし、それっきり、高子は姿をみせなかった。


「……いなくなったな。まいらに会いたかったんやて。満足したみたいやな。……まあ、そーゆーこっちゃ。」

 
……そーゆーって……どーゆーこっちゃ?


よくわからないけれど……、まあ、私も会いたかったから、ラッキー。

相思相愛だったわ。


……高子さまじゃなくて、孝義くんと相思相愛になれるのが一番の目標やけど。


目の前の頼もしい男と目が合うと、勝手に頬がゆるんだ。


   
孝義は、12時50分に寺務所へと戻った。


まいらもまた、いったん孝義の自宅に戻ると、蔵の中へと入ってみた。



おおおおお!

これは……すごすぎる……。


蔵の中には、常温保存できる贈答品が、ほぼ箱のまま積み上がっていた。

ジャガイモや玉葱のぎっしり詰まったダンボールもある。


ん?

小麦粉?

こんなものまで?


……おもしろいなあ。



わ。

缶詰め、すごっ!


蟹缶だー。



まいらは、メモを取りながら蔵の中を見て回った。


ふたたび冷蔵庫の中もしっかりチェックすると、頭の中で献立を考えてみる。


……うん。

大丈夫!



まいらは、うきうきと買い物に出掛けた。  

葉物野菜、鶏肉、牛乳、卵、ドライイースト。

千円かからなかった。



孝義の家に戻ると、献立表と計画表を作ってみた。

今日だけじゃなく、数日分を書き込んでいて……ふと気づいた。


これって、立派な自由研究になるんじゃない?


……うん。


出来上がった料理の写真をとり、材料費と、カロリー計算もやってみようかな。


考えると、ますます楽しくなってきた。


まいらは早速、下準備にとりかかった。



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翌日から、要人のもとに薫が出勤してくるようになった。


「宜しくお願いします!社長!」


スポーツマンらしいびしっとした挨拶を受け、要人はいかにも着慣れてない薫のジャケットの肩をぽんぽんと叩いた。
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