いつも、雨
藤やん?

藤巻清昇くん?


え?


孝義さんてば、もしかして……まいらちゃんが孝義さんに恋してるのをわかってて、清昇(きよあき)くんとくっつけようと思ってるの?


それって、ちょっと……ひどくない?




もちろん、ただの厄介払いじゃないことはわかる。

何と言っても、清昇は、孝義さんの後継者候補だ。

このまま孝義が再婚しなかったり、あるいは再婚しても子供ができなさそうなら、速やかに清昇を養子にして正式に後継者にすることが決まっている。


それに、まいらちゃんと清昇くんなら、年齢的にもちょうどいい。




……それはわかるけど……でも、まいらちゃんの気持ちは無視するつもりなの?


それに、清昇くんの気持ちだって……。



あ。

思い出した。


そう言えば、清昇くん、結婚は自由にできないって、前に言ってた!



……そうか。


孝義さんもお見合い結婚したんだもんね。



清昇くんも、孝義さんの跡を継ぐなら、普通の家庭の普通の子とか、バリキャリとか、絶対ダメなんだわ。




黙り込んで悶々としている桜子を置きざりに、孝義と薫の小競り合いは続いた。



まいらはしばらくおもしろがって見ていたが、飽きてきたらしく、投げやりに、ぽそっとつぶやいた。


「……じゃあ、孝義くんが、勉強みてよ。」




そんな暇あるか!……と、切り捨てることは簡単だが……自分のために慣れないおさんどんに奔走するまいらに対して、さすがにはばかられた。




返答に窮する孝義に、それまで黙っていた桜子が言った。


「お忙しい孝義さんに、薫くんの代わりに家庭教師なんて、できるわけないですよね。……でも、まいらちゃん、だいぶ勉強のしかたとかコツがわかったみたいで……あとは、集中力さえ持続すれば、独りでお勉強進めることができるんですって。ねえ?薫くん?」


「おう!理解力も記憶力も優秀や。……あ、そうか。ほな、猊下は、何もせんでええやん。猊下の仕事場の片隅で、まいらが勝手に勉強すればいいねん。猊下は時間も手も煩わされんし、まいらはサボれへんやろ。なあ?」


「うん!がんばる!独りで勉強する!んー、ほな、午前中の2時間と午後から2時間、孝義くんの執務室に居ていい?」



桜子からのパスを、薫が上手にまいらに回して、とどめのゴールはまいら自身が決めた。





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