いつも、雨
見事な連携プレーに、孝義は苦笑いしかできなかった。


……完全に、乗せられてしまった……。


まあ……いいか……。



鹿爪らしい顔を作ってみせようとしたが、……やめた。



「好きにしぃ。……仕事の邪魔するなよ。」



まいらは、飛び上がって喜んだ。




全身で喜びを、孝義への好意を、惜しみなく表現するまいらのことを、かわいいと思わないわけがなかった……。
 

 

話を続ける前に、夕食にした。


まいらの作った夕食は、中学生にしては渋かった。



「……何か、健康的というか……」



食卓に並んでいたのは、万願寺の炊いたんだの、お茄子の揚げ浸しだの、新じゃがと鶏肉の甘辛煮だの……




「 まいらちゃん、すごい。ちゃんと季節のお野菜のお料理だわ。」


ついつい、肉や揚げ物ばかりになりがちな、薫の手作り料理を思い出し比較すると、その差は歴然だった。




「味も、普通に美味いんや。……正直、ここまでやるとは、期待してへんかったわ。」


孝義に褒められ、まいらはでれでれになった。


「えへへへへ~。」


薫と桜子もまた、孝義とまいらの夕食のおかずのご相伴に預かりながら、備蓄のお中元コレクションのハムと季節の野菜を刻んだ冷麺を作って食べた。


多少うらやましげな顔をしてる孝義に気付いたまいらは、

「冷麺いいなあ。……孝義くん、明日のお昼、冷麺にしよっ。私、作るから、一緒に食べよ。」

と、どさくさに紛れて、ランチのおさんどんも宣言した。






料理を平らげたあと、お茶を飲みながら、おもむろに薫が切り出した。


「もう一つの報告やけどな、……堪忍、おじいちゃんに、言うた。不倫デートの寺に居合わせたって。」


「え……。」


まいらは絶句して、かたまってしまった。


桜子が気遣わしげに、まいらを見つめた。





「……なんや。もう言うたんか。展開、早いな。」


孝義の声が、多少、残念そうに聞こえたのは、……気のせいだろうか……。


フリーズしたまいらの心が、期待にときめき、息吹を戻した。



「ん~……どうかな。さすがに、おじいちゃんのほうから、まいらを連れ戻しに来ることはできんやろし、まいらがその気になるまで、このまんまでええんちゃいますか?」
< 626 / 666 >

この作品をシェア

pagetop