いつも、雨
「やったー!」
まいらは両手を挙げてから、ぴょんぴょん飛び跳ねて、桜子の両手を取った。
つられて、桜子も一緒に上下に揺れた。
「はいはい。まいら。もう一個、報告。俺ら、近々、お前ん家(ち)に引っ越すから。」
薫の言葉に、ぴたりとまいらの身体が止まった。
桜子が微妙な表情で、まいらの顔をのぞきこんだ。
「……私たち……本当に、お世話になっても、お邪魔じゃない?」
まいらは、驚いた顔になり、慌ててふるふると首を横に振った。
桜子は、目に見えて、ほっとした。
「ふーん。いよいよ、乗っ取りけ?……いや、冗談や。堪忍。……ごめん。」
軽口を叩いた孝義は、薫に睨まれ、桜子に泣かれそうになり、まいらに呆れたような目で見られて、慌てて否定した。
頭を掻く孝義を、まいらが窘めた。
「薫くんや私には何言ってもいいけど、さっちゃんをイジメちゃダメ。」
「……すまん。」
素直に謝る孝義に、薫と桜子は顔を見合わせた。
********************************************************************************************************
翌朝、孝義は甘い香ばしい薫りで、幸せな気分で目覚めた。
……なんだ?
朝から、何を作ったんだ?
まさか、クッキーとかケーキを焼いて、朝ご飯にする気じゃないよな?
亡き母も、亡き妻も、お菓子作りの趣味はなかったので、孝義は慣れない状況をいぶかしみ、早々に起き出した。
軽く汗を流し、身支度を整える。
白い衣に黒紗の布袍を身に付けた夏の普段着の僧衣で、キッチンのまいらを見に行った。
「おはよう。何の匂いや?」
まいらは、ふりふりの白いエプロンを翻して振り返った。
「孝義くん!おはようございます。何って、普通に朝ご飯やで。パン焼いてん。簡単なバターロールやけど、焼きたてやし美味しい思う。一緒に食べよ。」
……パンを焼く?
焼くっていうのは……え?
パンを、焼いたのか?
「それって、買うてきたバターロールを、家で温め直したって意味じゃなくて……まさか、パンを焼いたのか?」
孝義の表現に、驚きが溢れていて……まいらは、楽しそうに笑った。
まいらは両手を挙げてから、ぴょんぴょん飛び跳ねて、桜子の両手を取った。
つられて、桜子も一緒に上下に揺れた。
「はいはい。まいら。もう一個、報告。俺ら、近々、お前ん家(ち)に引っ越すから。」
薫の言葉に、ぴたりとまいらの身体が止まった。
桜子が微妙な表情で、まいらの顔をのぞきこんだ。
「……私たち……本当に、お世話になっても、お邪魔じゃない?」
まいらは、驚いた顔になり、慌ててふるふると首を横に振った。
桜子は、目に見えて、ほっとした。
「ふーん。いよいよ、乗っ取りけ?……いや、冗談や。堪忍。……ごめん。」
軽口を叩いた孝義は、薫に睨まれ、桜子に泣かれそうになり、まいらに呆れたような目で見られて、慌てて否定した。
頭を掻く孝義を、まいらが窘めた。
「薫くんや私には何言ってもいいけど、さっちゃんをイジメちゃダメ。」
「……すまん。」
素直に謝る孝義に、薫と桜子は顔を見合わせた。
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翌朝、孝義は甘い香ばしい薫りで、幸せな気分で目覚めた。
……なんだ?
朝から、何を作ったんだ?
まさか、クッキーとかケーキを焼いて、朝ご飯にする気じゃないよな?
亡き母も、亡き妻も、お菓子作りの趣味はなかったので、孝義は慣れない状況をいぶかしみ、早々に起き出した。
軽く汗を流し、身支度を整える。
白い衣に黒紗の布袍を身に付けた夏の普段着の僧衣で、キッチンのまいらを見に行った。
「おはよう。何の匂いや?」
まいらは、ふりふりの白いエプロンを翻して振り返った。
「孝義くん!おはようございます。何って、普通に朝ご飯やで。パン焼いてん。簡単なバターロールやけど、焼きたてやし美味しい思う。一緒に食べよ。」
……パンを焼く?
焼くっていうのは……え?
パンを、焼いたのか?
「それって、買うてきたバターロールを、家で温め直したって意味じゃなくて……まさか、パンを焼いたのか?」
孝義の表現に、驚きが溢れていて……まいらは、楽しそうに笑った。