いつも、雨
「わかった。お義父さんと、すぐ行く。……由未のおやじさんにも連絡しなよ。」
碧生の言葉に、由未は即答できなかった。
由未の困惑を察して、碧生は力強く言った。
「緊急事態だから!ちゃんと来てもらいなよ。」
百合子も、こくこくと何度もうなずいて碧生の言葉を支持したが、音声通話のみの由未には伝わらない。
くすっと笑ってから、碧生が付け足した。
「百合子もそうしてほしいって。お義父さんも、そうしてほしいって、絶対言うから。大丈夫だから。……逆に、いまさら、お義母さんを見捨てないであげてほしい。」
「……わかった。ありがとう。」
由未は、電話を切ったあと、……少しのためらいを振り払ってから、意を決して、父の要人に電話をかけた。
秘書の原を通さずに直接、父に電話をするなんて……初めてのことかもしれない。
電話を受けた要人も、何事かと驚いてスマホの画面をまじまじと眺めた。
「おじいちゃん?電話。出ぇへんの?カノジョ?」
軽口で冷やかすほど、すっかり打ち解けた娘婿の薫に促されて、要人は電話に出た。
「……私だ。どうした?……恭匡さまに、何かあったのか?」
『お父さん。落ち着いて、聞いてね。橘のおばさまが、倒れはって。今、救急車で病院に向かってはるところ。たぶん心筋梗塞。』
要人の時が、止まった。
さーっと、血の気が引き、頭が、足元がぐらつき……誇張ではなく、要人は、立っていることができず、尻餅をつくように、ソファに沈んだ。
「おじいちゃん!?」
慌てて薫が駆け寄り、要人を助け起こして、支えた。
要人は、薫の逞しい腕に、震える手で掴まった。
……薫と比較して、自分の指も、腕も……すっかり筋肉が落ちて、弱々しく衰えていることに、こんな時なのに、驚いた。
『もしもし?お父さん?大丈夫?お父さーん!お父さんまで倒れないでよ?とにかく、早く病院に行って!』
由未の言葉に、要人は呻いた。
「……領子さまは……もう……?」
『や。そこまではわからへんわ。でも、意識なくならはったし、呼吸も心音も途切れ途切れやったんよ。』
ああ……。
要人は、絶望に目を閉じた。
碧生の言葉に、由未は即答できなかった。
由未の困惑を察して、碧生は力強く言った。
「緊急事態だから!ちゃんと来てもらいなよ。」
百合子も、こくこくと何度もうなずいて碧生の言葉を支持したが、音声通話のみの由未には伝わらない。
くすっと笑ってから、碧生が付け足した。
「百合子もそうしてほしいって。お義父さんも、そうしてほしいって、絶対言うから。大丈夫だから。……逆に、いまさら、お義母さんを見捨てないであげてほしい。」
「……わかった。ありがとう。」
由未は、電話を切ったあと、……少しのためらいを振り払ってから、意を決して、父の要人に電話をかけた。
秘書の原を通さずに直接、父に電話をするなんて……初めてのことかもしれない。
電話を受けた要人も、何事かと驚いてスマホの画面をまじまじと眺めた。
「おじいちゃん?電話。出ぇへんの?カノジョ?」
軽口で冷やかすほど、すっかり打ち解けた娘婿の薫に促されて、要人は電話に出た。
「……私だ。どうした?……恭匡さまに、何かあったのか?」
『お父さん。落ち着いて、聞いてね。橘のおばさまが、倒れはって。今、救急車で病院に向かってはるところ。たぶん心筋梗塞。』
要人の時が、止まった。
さーっと、血の気が引き、頭が、足元がぐらつき……誇張ではなく、要人は、立っていることができず、尻餅をつくように、ソファに沈んだ。
「おじいちゃん!?」
慌てて薫が駆け寄り、要人を助け起こして、支えた。
要人は、薫の逞しい腕に、震える手で掴まった。
……薫と比較して、自分の指も、腕も……すっかり筋肉が落ちて、弱々しく衰えていることに、こんな時なのに、驚いた。
『もしもし?お父さん?大丈夫?お父さーん!お父さんまで倒れないでよ?とにかく、早く病院に行って!』
由未の言葉に、要人は呻いた。
「……領子さまは……もう……?」
『や。そこまではわからへんわ。でも、意識なくならはったし、呼吸も心音も途切れ途切れやったんよ。』
ああ……。
要人は、絶望に目を閉じた。